研究概要

メディカルデータサイエンス・プロジェクトとは

臨床疫学・生物統計学・生物情報科学・ゲノム統計学・医療情報学の融合研究(メディカルデータサイエンス)を推進する、世界水準の研究拠点を形成することを目指した日本初のプロジェクトです。
超高齢化社会、国民皆保険制度や実臨床における高度検査機器の世界的高導入率といった、わが国の保健医療・臨床情勢の特徴を最大限生かすことで、世界に通用する臨床研究を日本から発信していきます。
また、本プロジェクトでは臨床疫学・生物統計学・生物情報科学・ゲノム統計学・医療情報学の複数分野の知識・技術を有する人材育成にも重点をおきます。

プロジェクトの目標

私たちは下記の目標を掲げます。

  1. 世界水準のメディカルデータサイエンスの拠点形成
  2. 海外臨床研究先進大学・研究所との国際ジョイントラボの設立
  3. 企業・自治体との共同研究・受託研究の推進
  4. 臨床疫学・生物統計学・生物情報科学・ゲノム統計学・医療情報学の複数分野の知識、技術を高い次元で有する人材の育成
  5. 臨床研究から得られた問題点や疑問点をタイムリーにフィードバックする、リバーストランスレーショナル研究の実践
  6. 質の高い英文医学誌を目指した原著論文の作成の立場からサポート

我が国における臨床研究の遅れとその問題点

臨床医学研究の発展は、長年にわたり我が国における重要な課題の一つとされてきました。しかしながら、近年では超高齢社会の到来に代表されるように社会構造の大きな変化に伴い、保健医療問題の構造自体が大きく変わろうとしています。また情報科学の爆発的な発展によって人工知能(AI)の台頭やビッグデータ・リアルワールドデータの活用といった新たなリソースの活用・対応が臨床医学研究においても求められ始めました。
当然、これら活用・対応は急務にも拘らず、我が国の臨床医学の研究レベルは世界のトップ水準からは大きく遅れをとり今日の急速な変化に十分な対応が出来ていないという現状があります。

我が国における臨床研究の後退と世界ランキング

我が国における臨床研究の後退と世界ランキング

とりわけ、長期観察臨床研究や、社会構造の変化に伴う新たな医学問題に対応できる高度な技術と知識を兼ね備えたデータサイエンス領域の人材を、臨床研究先進国と同等レベルに確保する事は容易ではありません。

臨床研究の遅れを世界水準に;メディカルデータサイエンス・プロジェクトの発足

メディカルデータサイエンス・プロジェクトは、2019年に臨床医学研究分野におけるこれら問題への挑戦を目指して発足しました。
臨床疫学・生物統計学・生物情報科学・ゲノム統計学・医療情報学といった医学研究におけるデータサイエンスに特化した人材・知識・経験を共有することで、臨床研究における最先端のデータサイエンスのタイムリーな適用を実現させます。大学(研究所)・企業・自治体との連携を推進し、データ利用から統計解析・政策提言までの包括的な枠組みを実現させることで効率的かつ質の高い医学研究を推進させます。また、国民皆保険・要介護認定制度・バイオマーカーや高度医療検査機器の普及など、我が国の保健医療の長所・特色を最大限に活かした、日本発の世界に通用する臨床研究を目指します。

メディカルデータサイエンス構想:医学研究の高度化を支える融合研究

メディカルデータサイエンス構想:医学研究の高度化を支える融合研究

リバーストランスレーショナル研究への応用と世界トップレベルの国際ジョイントラボへの期待

医薬品の市販後効果検証や治験型の医療介入効果の検証など、リアルワールドにおける医療効果の検証はヒトでの検証や長期的な効果を検討しては初めて見つかる疑問点、問題点、新たな発見が見つかる事が多いといえます。
メディカルデータサイエンス・プロジェクトが目指す、専門分野を横断した包括的な組織基盤の形成は、基礎研究から臨床研究への効率化の実現と同時に臨床研究から基礎研究へのフィードバックも円滑にし、研究シードの萌芽と新たな基礎研究(リバーストランスレーショナル研究)への発展が期待されます。このような長期的かつ包括的な臨床疫学研究拠点の形成の実現は、国内だけでなく世界的に見ても類まれな臨床研究拠点となる事が期待されます。メディカルデータサイエンス・プロジェクトでは、これらを見越して世界トップクラスの臨床研究を実施する海外の大学・研究所との国際ジョイントラボを設立し、国際共同研究の実施や研究者の相互受入れ・世界トップレベルの講師による研究セミナーの実施を進めていきます。これらのミッションは臨床研究における研究成果の飛躍的な向上と共に、メディカルデータサイエンス・プロジェクトによって育成される人材が我が国における医学研究のエビデンス形成の促進、疾病予防の促進、医療の適正化に貢献すると期待されます。

今後の展望;メディカルデータサイエンス・プロジェクトにおける研究機能強化のための他機関との関連性

今後の展望;メディカルデータサイエンス・プロジェクトにおける研究機能強化のための他機関との関連性

共同研究機関一覧

メディカルデータサイエンス・プロジェクトでは、世界最高水準の臨床研究を目指して以下の国内外の研究機関との共同研究・招待セミナーの開催しております。(順不同)

  • University College London(イングランド)
  • London School of Hygiene and Tropical Medicine(イングランド)
  • University of Gottingen Medical Centre(ドイツ連邦共和国)
  • Peking University(中華人民共和国)
  • Wethington University(アメリカ合衆国)
  • Duke University(アメリカ合衆国)
  • University of Pittsburgh (アメリカ合衆国)
  • University Medical Centre Groningen(オランダ王国)
  • Singapore National University Heart Center(シンガポール)
  • Minia University(エジプト)
  • 大阪大学医学系研究科第一血管外科
  • 大阪大学医学系研究科救急救命科
  • 大阪大学医学系研究科救急救命科
  • 神戸市立医療センター救急救命部
  • 国立循環器病センター
  • 大阪がん循環器予防センター

他.

お問い合わせ

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2

大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室 応用臨床疫学ユニット

Tel:06-6879-3763 Fax:06-6879-3919

Mail:r.sakaniwa@pbhel.med.osaka-u.ac.jp

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