大学の世界展開力強化事業(医学・公衆衛生学分野のキャンパスアジア) 大阪大学
世界的健康問題の解決に向けた医学研究グローバルリーダー育成プログラム
Program for raising research leaders in medicine and public health to solve global health problems

English

概要

事業の目的及び概要

世界的な少子高齢化の進展により、人類の健康問題は感染症から生活習慣病・認知症を初めとする老年病へのパラダイムシフトが起きている。特に東アジア諸国は欧米に比べて少子高齢化が急速に進んでおり、世界人口の高齢化に拍車をかけている。
一方、1970年代の日本、1990年代の韓国、2000年代の中国において、急速な経済発展が起こったものの、最近の経済停滞とも相まって各国では、少子高齢化に伴う健康問題に対して、公衆衛生・医療における制度や政策の見直しを迫られている。制度・政策の見直しには、絶えず最新の科学的知見が必要で、そのため老化の予防・医療に関する基礎的・革新的研究の進展が求められている。
世界的な健康問題として、生活習慣病や認知症の増加、急速な経済発展に伴う大気水質汚染・温暖化、最近わが国で発生した放射線汚染等の社会環境問題、交通・流通の国際化に伴う輸入感染症・新興感染症の問題等、様々な健康問題が顕在化している。これらの諸問題に対する長期的かつより抜本的な解決のためには、医学の知識・技術のみならず、社会経済・人文科学系の知識・スキル・態度を有する文理融合・問題解決型人材の組織的な育成を、大学を拠点とし産官学の協働により進めることが急務である。
また、高齢化に伴う疾患の予防・治療の根本的な解決方法の追求には、老化制御を軸とした基礎研究を一層進める必要がある。特に世界的な健康問題である生活習慣病や認知症の予防・治療、さらには老化のメカニズムに関する基礎研究の推進のためには、若手研究者の組織的な育成が必須である。

養成する人材像

本事業は、世界的健康問題である、生活習慣病、認知症、老化関連疾患の予防・制御に関する研究をリードしている大阪大学と中国の4大学、韓国の1大学が、キャンパス・アジア・コンソーシアムを組み、これらの予防・医療の推進に貢献する医学研究のグローバルリーダー育成を目的とする。特に東アジアの中で3国は、本テーマに関して世界的水準の研究基盤を有する国であり、本コンソーシアムを形成する意義は大きい。
養成する研究者は、企業や国際機関(WHO等)におけるインターンシップを含む短期・中期・長期の多層的交流プログラムと博士課程大学院でのダブル・ディグリーを目指した教育プログラムにより、将来、自国の大学の教員にとどまらず、他国の参加大学やその他の研究大学の教員、日中韓の公的研究所や国内外の健康関連企業の研究者、政府行政機関やWHO等の国際行政機関の構成員として、本キャンパス・アジアの同窓会等を通じて形成したグローバルなネットワークを活用し、特に東アジアにおける健康問題の解決にあたることが期待される。東アジアでの健康問題の解決は、次いで急速な少子高齢化が進むとされる中央アジアやアフリカ諸国においても応用でき、世界的な展開が見込まれる。
大阪大学は、生活習慣病、認知症の基礎・臨床・公衆衛生学研究において世界トップクラスの実績をあげており、日本の皆保険制度のもとで進められた保健医療政策への適用と相まって中年期における生活習慣病の減少、健康寿命の延伸を実現した。中国の大学は、大阪大学と同様、老化制御に関する基礎研究、新規漢方薬有効成分の探索でトップクラスの研究を進めている。韓国の大学は、国民総背番号制度の基に大規模な疫学研究とそれを進める上での研究倫理に関してトップクラスの研究を進めている。一方で、日中韓の3か国は、仏教、儒教等の影響を強く受けながら、欧米とは異なる独自の文化を育んできた。そのため、東アジアのトップクラスの大学のコンソーシアムを形成することで、欧米の直線的な論理思考能力を理解・体得しながらも、調和性・包括性・融合性の観点や柔軟な思考能力を有し、地域における諸課題に対処できる、問題解決型の医学研究者育成を目指すことが可能と考えられ、これらの3か国の特性と共通点を生かすことで教育研究の相乗効果を図る。これにより、医学・公衆衛生学分野における世界展開力を強化すると共に、世界的健康問題の解決に向けた医学研究のグローバルリーダー育成を目指す。